経営権の集中と企業防衛を目的として、株式に 譲渡制限 をつけることは中小零細企
業の機関設計・株式設計においてごく一般的に行われていることと思います。
今回と次回コラムでは、そんなポピュラーなビジネスツールである
譲渡制限株式
に備わっているパワーと弱点、そしてその対策につき基本的に抑えておきたい点につ
いてお話します。
Home > コラム > 会社法務 > 譲渡制限株式のパワー (2007. 8. 19)

経営権の集中と企業防衛を目的として、株式に 譲渡制限 をつけることは中小零細企
業の機関設計・株式設計においてごく一般的に行われていることと思います。
今回と次回コラムでは、そんなポピュラーなビジネスツールである
譲渡制限株式
に備わっているパワーと弱点、そしてその対策につき基本的に抑えておきたい点につ
いてお話します。
まず、株式に譲渡制限をつけた場合、どのような法的根拠により、その趣旨である
好ましくない株主の出現を阻む
ことができるのでしょう。
ここでは、 『株主である会社の取締役が譲渡制限株式を会社の承認を得ず、つまり
定款に違反した取引で第三者に譲渡した場合』 を例にしましょう。 そこで
(1) 会社 vs 役員
(2) 役員 vs 第三者
(3) 第三者 vs 会社
と3者の目線でそれぞれの取引と権利関係を最高裁判例と会社法に照らしみていきまし
ょう。
まず(1)ですが、会社の定款で株式の譲渡に取締役会の承認が必要であることが定め
られ、株式の譲渡が制限されている場合に、この定款の規定に違反しその承認を得る
ことなく株式を第三者に譲渡してしまった場合、その取引は
会社と役員との関係では 無効
と考えられています。(後の結論には直接影響しませんが…)
では(2)の関係ではどうかですが、結論から言うと
役員と第三者との関係では 有効
な取引と考えられています。 つまり、その 株式は役員の手を離れ第三者のものにな
る ということです。 しかしそうなるとご心配されているように、知らない株式の持ち主が
会社の経営に入ってくる好ましくない事態が考えられます。
そこで(3)ですが、
株式の譲渡を受けた場合、今度は会社に 役員名簿の書き換え、つまり「名義変更」を
しなければ会社に株主として扱ってもらえない、結果株主としての権利を主張できない
ことになっています。 このように会社法は「株式を持っている」ことと、「株主としての権
利を主張できる」ことを分けて考えています。
【第三者】
『私はあなたの会社の株式をそちらの役員(株主)の方から譲ってもらいました。
ですから、あなたの会社の株主名簿を書き換えて私をあなたの会社の株主と認めてく
ださい。』 / 会社法133条
【会社】
『いいえ、あなたのお持ちの株式は譲渡に会社の承認が必要な株式なので、それはでき
ません。』 / 会社法134条
【第三者】
『ではこの株式を買い取ってください。』
【会社】
『わかりました。買い取らせていただきます。』 / 会社法140条 (あらかじめ「買取人」を
決めておくこともできます)
という流れで会社にとって好ましくない株主の出現を阻止する枠組みが会社法により手当
てされており、これがまさに好ましくない株主の出現を防止するという 譲渡制限株式 の趣
旨でもあるのです。
このように第三者の経営参画のおそれは上のスキットのように会社法の規制で払拭される
仕組みが整っており、仮にそのような第三者が現れたとしても、会社としては上のようにきっ
ぱりお断りすればよいことになります。
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