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潜在的「リスク」を未然に回避し、潜在的「利益」を顕在化させるビジネスツールをご提案します

リスクマネジメント事例

事例3 紛争解決ツールの戦略的選択

R社は従業員Mを労働力判断を誤らせる重大な「経歴詐称」を理由として普通解雇に処します。
一方従業員Mはこれを不服として争う姿勢を見せています。 (ここでは解雇の有効性については触れず、適切な紛争解決機能の選択に焦点をあてたいと思います。)
会社としてはまず内部において穏当な話合いでの自主的な解決を図りますが、お互いの主張がぶつかり合い話合いは平行線をたどります。
そして次に外部機関の紛争解決機能としてADR(裁判外紛争解決手続き)の活用を検討しますが

1. 「解雇」という込み入った事案であること
2. 従業員側の争う姿勢が鮮明であること
3. 判定機能・拘束力のないADRの限界点

などから当制度が今回の問題解決になじむかどうか疑問です。
しかしこのまま行くとMによる訴訟提起が容易に予測でき、勝訴・敗訴いずれにしても訴訟での解決が双方に大きな損害をもたらし合理的な解決方法とは言えません。
こうした状況の中会社はどのような対応(紛争解決手段)をとるべきでしょうか?

[ 関連法規 ] 
労働基準法18条2/個別労働関係紛争解決促進法/ADR法/労働審判法/民法536条/民法709条 等

リスクの所在

(1)訴訟リスク
(2)解雇無効(敗訴)リスク
(3)(2)に伴う賃金支払義務の発生(訴訟期間中の賃金負担)
(4)(2)に伴う損害賠償責任の発生
(5)長期間の訴訟がもたらす時間的・経済的損失
(6)社名公表によるイメージダウン 等

対策

訴訟への発展を阻止すべく会社側のイニシアティブのもと紛争解決手段として「労働審判」を選択し、双方におよぼされる諸リスクの回避・軽減を図る。

効果

訴訟リスクおよび経済的損失の軽減

平成18年よりスタートした労働審判制度を利用した紛争解決状況は目下良好で専門家の間でも有効な紛争解決機能として相当の評価を得ているところです。
労働審判制度イメージはこちらから

上の事例で仮に従業員主導のもと白黒をはっきりさせる民事訴訟で争った場合、会社・従業員双方が受けるダメージは甚大です。
一方「労働審判」制度は訴訟と同じく「勝ち」「負け」をはっきり決めるという判定機能を持つと同時に、労働問題に詳しい第三者(労働審判委員会)を交え、金銭解決を含め妥当な解決点を探るという労働問題に適した柔軟性を持った紛争解決ツールです。 
また解決まで約1年を要する「訴訟」に対し、この「労働審判」は原則3回の審理で結審し、解決までの期間は平均2.5ヶ月と迅速さが際立ちます。
それだけ双方にとって時間的・経済的負担も小さくてすむということです。 つまり会社にとっても大きなリスク軽減につながるわけです。

紛争解決方法(主体) 労働審判 (労働審判委員会) 民事訴訟 (裁判所)
審理期間 約2.5ヶ月(平均) 約1年
公開・非公開 非公開 公開(原則)
紛争解決方法 
/ 拘束力
(1)調停/裁判上の「和解」(*)
(2)労働審判/裁判上の「和解」(*)
裁判(判決)
/確定判決(強制執行)

(*) 確定判決と同一の効力を持ちます。

会社のリスクマネジメントは会社内部と外部という場所的(時間的)な観点から次の2つに区分されると思います。

(1) 外部に出る前に未然に リスクを「回避」 する
(2) 外部に出た(あるいは出るおそれのある)場合の リスクを「軽減」 する

この事例は(2)のリスクマネジメントにあたります。
雇用の流動化が進むにつれこうした個別労働紛争が外部に出やすくなり、またその数も増加し紛争形態も多様化していく傾向が続くと考えられます。
中小企業にとって「訴訟」などの紛争の外部化は経営上大きなリスクと損失に発展していくとの認識が必要です。
そして今後中小企業も貴重な経営資源の流出を防ぐためにこの事例で選択した「労働審判」制度をはじめ「ADR」など、リスクの大きい「訴訟」以外の紛争解決ツールを事案に応じうまく使い分けていくテクニックを身につけていかなければなりません。

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