例えば、経営事情を理由に会社の役員報酬を引下げなければならない状況を想定してみましょう。
会社の「取締役」といっても
(1) 従業員 としての 給与 をとる
(2) 役員 としての 報酬 をとる
という2つの身分を同時に有するケースが考えられます。
この場合
(1) 労働契約 【労働基準法】
(2) 委任契約 【民法】 【会社法】
と2つの契約形態が併存するかたちになり、それぞれ【 】内の法律の規制を受けることになります。 さらに(2)については、損金算入という会計上の観点から 【法人税法】上の制約も併せて考慮する必要があり、問題解決には実に4つの法律をクロスオーバーさせなければなりません。
このように、雇用に関する問題に限らず会社という舞台で発生する問題は、必ずしも一法律のみに支配されるとは限らず、複数の法律が交錯するため事案に応じ立ち位置を変えた視点を持たなければなりません。
さらに雇用をめぐる法市場はもはや「労働」領域に限らず、プライバシー問題(個人情報保護法)・営業秘密等知的財産保護(不正競争防止法)などその守備範囲のグローバル化が進んでいます。
そしてこれらが密接・複雑に関連し合い当事者の権利義務関係そして企業利益に直接影響を及ぼすことから、広く企業法務という枠組みで周辺関連法規を意識した総合判断力が要求されます。
つまり常に 複数の法の目 と バランス感覚 を持つハイブリッド性が私たち専門家に要求されるわけです。 そして先述の労働市場の急速な変化に伴い会社と従業員の権利・義務関係は 多様化・複雑化 の傾向が強まっています。 こうしたビジネス環境において、とても一専門分野のみの視点では会社に利益をもたらすソリューションは提供できません。 ひとつの事案に対し「木を見て森を見ず」のアプローチでは下図のように会社に二重の損失をもたらしかねません。







